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古式に則る金城の舞「石見神楽 -奉納神楽-」

神への感謝と、秋の訪れ。

浜田市金城町が位置する石見地方は秋になると、その年の豊作・豊漁に感謝して、舞を神様に奉納する「奉納神楽」が周辺神社で行われます。
浜田市金城町では、今回、取材した久佐八幡宮にて奉納する、久佐西組神楽社中と久佐東神楽社中の2団体を含む11の神楽団体があり、それぞれの地域の神社にて、10月の週末にかけて重なることなく奉納神楽が行われています。

そもそも石見神楽って?

 

 

「石見神楽」とは、島根県西部で継承されている伝統芸能。伝統芸能というと「かしこまった雰囲気の中、襟を正して観るもの」というイメージが強いですよね。
「石見神楽」は、伝統芸能でありながら、豪華な衣装と、大胆な舞、そしてわかりやすいストーリーで、子供たちの憧れなんです。
島根県西部、石見地方では、幼い子供たちが「石見神楽」のポーズを決めたりセリフを言う様は、ごくごく日常のこと。石見神楽を舞う方々の集まりを「社中」と言い、彼らは老若男女問わず様々な人間で構成され、現在は130以上もあります。彼らは、普段は他に仕事を持った社会人や、学校に通う学生・児童。石見神楽を愛する彼ら一般の人々によって、今なお受け継がれ舞い続けているんです。

奉納神楽って?

ちょっとディープな楽しみ方をしてみたい人はやはり「奉納神楽」。
各神社のお社で一年間の無事と収穫への感謝を氏神様に捧げるために奉納される神楽を奉納神楽と呼ばれています。金城町周辺では、10月初旬から1か月かけ、地元神社の例祭の前夜祭として神楽を舞い、地元の方々とともに氏神様に感謝を奉納する石見神楽本来のスタイルです。
ですので「奉納神楽」の体験こそが「本物の石見神楽を観た」と言えるのかもしれませんね。神社で舞う荘厳な石見神楽をお楽しみください。

神楽の前にまずは例祭

 

 

 

 

八幡宮は山の上、階段下には綺麗な飾りが取り付けられます。

 

 

 

 

奉納神楽の前に久佐八幡宮総代の方たちを招き、巫女舞が奉納されます

 

 

 

 

巫女舞が終わると宮司の方から祝詞の読み上げ。

 

 

 

 

前夜祭が終わった後の地元の小学生の女の子。巫女舞の衣装がとてもかわいいですね。

例祭が終了するといよいよ奉納神楽へ

 

 

奉納神楽は社中の地元で舞うホームグラウンドのようなところ。着の身着のままで神楽を楽しむ方が徐々に集まってきます。

久佐八幡宮秋季大祭前夜祭奉納神楽

準備が整うといよいよ奉納神楽の始まりです。

今回の奉納演目はこちら

  • 鈴神楽
  • 八幡
  • 道がえし
  • 八十神
  • 塵輪
  • 頼政
  • 神武
  • 鍾馗
  • 大蛇

 

 

 

 

奉納神楽最初の舞、「鈴神楽」。手には鈴と扇を持って舞います。
神様もこの演目を歌を詠むほど楽しみにし、神前のすだれを巻き上げて神楽を聞くほど楽しんでたようです。

 

 

つづいて八幡。

石見神楽は正義対悪の対決が見ものなんです
こちらの演目は神様が正義で鬼が悪。神様が悪事を働く鬼を弓を持って退治するというお話。石見神楽の代表的な展開の神楽です。

いよいよディープな舞へ突入。

 

 

 

 

次の演目は「塵輪」。
筆者も最も好きな演目です。やはりこちらも正義の神が悪い鬼を退治するお話ですが、はやりまじかで見れる奉納神楽は迫力が違います。

 

 

 

 

あまりの迫力にこんなハプニングも。
ちっちゃなお子さんには凄い恐怖なんでしょうね。

石見神楽の演目は1演目30分~40分ほど。長い演目では1時間以上かかる演目も奉納されます。

いかがでしたか?

奉納神楽はこの後まだまだ続き、最終演目が終わるころは深夜2時~3時までかかることも。大人は酒を酌み交わしながら秋の夜を過ごします。
旅慣れた人にオススメな楽しみ方ではないでしょうか?

 
 

 

神楽鑑賞で気を付けたいこと。

ただ地元の方たちの大切なお祭りにお邪魔することになるので、いくつか気を付けたい点があります。

  • 鑑賞前にちゃんと神様にご挨拶すること。
  • きちんと本殿を参拝しましょう。
  • いい場所を独り占めしたり、許可なくカメラをセットするなど自分本位な行動は控えましょう。
  • かなり冷え込む時期なので、カイロや毛布などの防寒対策は怠らないように。

あとはとにかく気楽な体勢で楽しむだけ!気取る必要などありません。また、夜通し素晴らしい舞を見せてくれた社中に見物料のような意味を持ち、感謝の気持ちを込めて贈る「花(はな)」(大体3,000~5,000円が相場)を打ってみるのも、通っぽくて粋ですよ!